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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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素直になる葵

オープンから数日。

同僚たちはすでに夜の(あかり)を楽しんでいて、

その感想が自然と耳に入ってくる。


「昨日のカクテル、“変わらない想い”って意味だったらしいよ」

「次は“叶わぬ恋”飲んでみたい〜」

「名前だけでエモいよね」


葵は笑って聞きながら、

胸の奥で静かに決意が固まっていく。


(……行こう)


ようやく、

心が動いた。


仕事を終え、

コートを羽織って外に出る。


夜風が頬に触れた瞬間、

胸の奥が少しだけ軽くなった。


(……行ってみよう)


足が自然と灯 -tokyo- の方向へ向かう。


街の明かりが滲む。

人の声が遠くなる。

胸の鼓動だけがはっきり聞こえる。


(店長……)


(もう一度、会いたい)


その想いに、

ようやく素直になれた。


葵はゆっくりと歩き出した。


灯 -tokyo- の看板が、

夜の中で静かに光っていた。

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