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素直になる葵
オープンから数日。
同僚たちはすでに夜の灯を楽しんでいて、
その感想が自然と耳に入ってくる。
「昨日のカクテル、“変わらない想い”って意味だったらしいよ」
「次は“叶わぬ恋”飲んでみたい〜」
「名前だけでエモいよね」
葵は笑って聞きながら、
胸の奥で静かに決意が固まっていく。
(……行こう)
ようやく、
心が動いた。
仕事を終え、
コートを羽織って外に出る。
夜風が頬に触れた瞬間、
胸の奥が少しだけ軽くなった。
(……行ってみよう)
足が自然と灯 -tokyo- の方向へ向かう。
街の明かりが滲む。
人の声が遠くなる。
胸の鼓動だけがはっきり聞こえる。
(店長……)
(もう一度、会いたい)
その想いに、
ようやく素直になれた。
葵はゆっくりと歩き出した。
灯 -tokyo- の看板が、
夜の中で静かに光っていた。




