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大和のいるお店へ
オープン当日の昼休み。
会社のビルを出た瞬間、
すでに遠くから人だかりが見えた。
「やば、ほんとに並んでる!」
「初日だしね〜」
「でも行くだけ行こうよ!」
女子たちが楽しそうに声を弾ませる。
葵も笑ってついていく。
胸の奥は、ずっと落ち着かなかった。
灯 -tokyo- の前には、
すでに20人ほどの列ができていた。
「これは無理じゃない?」
「でもせっかくだし並ぼ!」
「入れたら奇跡だよね!」
そんな会話を聞きながら、
葵は静かに列に加わった。
(……入れなくてもいい。
でも、近くまで来れたから)
そう思っていた。
けれど、
店員さんが列を見ながら声をかけてきた。
「テーブル別々でもよければ、
この回転でご案内できますよ〜!」
「え、入れるの?」
「別々でもいいよね?」
「行こう行こう!」
女子たちが一斉に盛り上がる。
葵も頷いた。
「……じゃあ、入ろっか」
胸がきゅっと締まる。
(……本当に、入るんだ)




