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灯 -tokyo-
昼休み、
会社の近くの大通りを歩いていたときだった。
大型ビジョンに、
ふと見覚えのある“影”が映った。
(……え?)
足が止まる。
画面には、
二色のスイーツ。
夜のカウンター。
そして──
大和の横顔。
一瞬だけ。
でも、間違えようがない。
(……店長?)
胸が跳ねた。
そのまま会社に戻ると、
女子たちがざわざわしていた。
「ねぇ見た?
駅前のビジョンのやつ!」
「灯の新業態だって!
去年忘年会で行ったあの店!」
「しかも期間限定で、会社の近くに出すんだって!」
「スイーツめっちゃ可愛いよ!
夜はバーになるらしい!」
「大和さん、ちょっと映ってたよね?
あの人、かっこよくない?」
葵は笑って聞いているふりをした。
でも、心臓はずっと落ち着かなかった。
(……本当に、始まるんだ)
スマホを開くと、
通知が光っていた。
「yamatoが新しい投稿をしました」
震える指で開く。
そこには、
さっき街で見た映像と同じ、
大和の“新しい挑戦”があった。
(……行ってみたい)
その気持ちが、
静かに、でも確かに芽を出した。




