表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

475/485

熱燗の湯気

徳利からそっと注いだ熱燗の湯気が、

柔らかい灯りに溶けていく。


木のカウンターは少し使い込まれていて、

指先に触れると、

18年前の夜の温度がそのまま残っているようだった。


(……来てたんだ、去年)


和田さんの言葉が、

まだ胸の奥で静かに揺れている。


(……俺がいない時に)


猪口を持ち上げると、

湯気がふわりと揺れた。


白ワインの投稿が頭に浮かぶ。


> #乾杯しよう


あの言葉が、

なぜか離れない。


大和はスマホを取り出し、

カウンターの端に置かれた猪口を撮った。


湯気。

木目。

灯の影。


説明はいらない。

タグもいらない。


ただ、

胸の奥に残った言葉だけを打ち込む。


> 乾杯


送信ボタンを押した瞬間、

胸が少しだけ熱くなる。


(……誰に向けたわけでもない)


そう思いながら、

でもどこかで分かっていた。


この一言が、

きっと届く相手がいることを。


猪口をそっと口元に運ぶ。


熱燗の温度が、

静かに胸のざわつきを溶かしていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ