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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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同じ味を同じ場所で

休日。

葵はその店の前に立っていた。


胸が少しだけ震える。


(……来ちゃった)


店内に入ると、

大和の投稿で見た光景が

静かに広がっていた。


同じラテを頼む。

運ばれてきたカップを見て、

息が止まる。


(……同じだ)


ミルクの白が、

雲みたいにふわっと広がっている。


写真を撮る。

でも、投稿はしない。


(これは……載せられない)


胸の奥が熱くなる。


代わりに、

ランチメニューをそっと撮る。


光の入り方が綺麗だった。

皿の縁の小さな欠けも、

なんだか愛おしい。


#ひとりごはん

#午後のごほうび


投稿ボタンを押すと、

胸の奥がじんわりと温かくなった。


(……店長、気づくかな)


大和のフォロワーに気づかれるのは困る。

でも、

店長だけには気づいてほしい。


そしてふと、

自分の左手を見る。


指輪のない日常にも、

もうすっかり慣れていた。

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