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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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ラリーが続く

洗濯物を抱えたまま、

葵はベランダに出た。


風が少し冷たくて、

空は淡い青にほどけていた。


(……きれい)


特別な構図じゃなくていい。

ただの空でいい。

でも、この気持ちは確かに“続いている”。


そう思った瞬間、

スマホを向けてシャッターを切った。


青い空。

白い雲。

どこにでもある朝の風景。


#深呼吸の朝

#すこしだけ前へ


投稿ボタンを押すと、

胸の奥がふっと軽くなった。


---


買い物を終えた帰り道、

葵はカフェの前で足を止めた。


(……入ろう)


窓際の席に座り、

お気に入りのココアを頼む。


甘い香りがふわっと広がる。

そっとテーブルに置くと、

自然とカップを左側に寄せていた。


シャッターを切る。


#お気に入りのココア

#整える時間


投稿したあと、

胸の奥がじんわりと熱くなる。


(……店長、見てくれるかな)


そんなことを思ってしまう自分に、

少しだけ苦笑した。


---


電車を待ちながら、

大和はスマホを開いた。


葵の投稿が目に入る。


青い空。

柔らかい光。

そして──

左側に寄せたココア。


胸の奥が、

静かに揺れた。


(……続けてる)


大和は、

近くのカフェに入り、

ラテを頼んだ。


運ばれてきたカップを見て、

ふっと息が漏れる。


ミルクの白が、

雲みたいにふわっと広がっていた。


(……空みたいだ)


テーブルの右側にそっと置き、

シャッターを切る。


#今日はラテ

#アートが秀逸


投稿すると、

胸の奥がじんわりと温かくなった。


右と左。

空と雲。

朝と昼。


言葉はないのに、

確かに呼吸が続いている。


その事実だけで、

今日が少しだけ特別に思えた。

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