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大和がくれた「いいね」
画面に表示された名前。
見た瞬間、
葵の呼吸が止まった。
> ……店長。
声にならない声が、
喉の奥で震える。
朝の空の写真。
ぽつんと浮かんだ丸い雲。
そこに触れたのは──
唯一の1件。
その1件が、大和。
胸の奥が、
一気に熱くなる。
手が震えて、
スマホを持つ指先が少し汗ばむ。
視界の端で、
職場の電話が鳴っているのが見えた。
でも、
耳に入らない。
頭の中は、
ただひとつの事実だけでいっぱいだった。
──店長が、私の投稿を見てくれた。
その事実だけで、
午前中に積み上げた集中力なんて
全部どこかへ消えてしまった。
画面を閉じても、
胸の奥の熱は消えない。
仕事に戻らなきゃいけないのに、
心だけが戻ってこない。
小さな奇跡が、
葵の世界を静かに変えていた。




