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唯一のいいね
午前の仕事がひと段落して、
ふぅ、と息をついた。
デスクの上の書類を揃えながら、
なんとなくスマホを手に取る。
通知は……特にない。
いつも通りの静かな画面。
でも、
自分の投稿の下に
小さく「1件のいいね」がついているのが目に入った。
> ……あれ?
普段なら、
結衣が押してくれるかどうか。
それ以外は、ほとんど反応なんてない。
だから、
“1件”という数字だけで胸が跳ねた。
朝の空の写真。
ぽつんと浮かんだ丸い雲。
誰に向けたわけでもない、
ただの“日常の一枚”。
その投稿に、
ぽつんと灯った“1”。
葵は、
その数字から目が離せなくなった。
指先が、
ゆっくりと画面へ伸びていく。
──誰だろう。
その答えを知るのが怖いような、
でも見ずにはいられないような、
そんな不思議な緊張が胸に広がっていく。
そして、
葵はそっと「1件のいいね」をタップした。




