つながるふたり
電車に揺られながら、
なんとなくスマホを開く。
昨日の大和のリールが
また頭に浮かんでしまって、
気づけば再生していた。
照れた笑顔。
スーツ姿。
仕事モードの声。
胸の奥が、
また静かに温かくなる。
そして、
昨日は押せなかった“いいね”を
今日は迷わず押した。
ぽん、と色が変わる。
コメント欄を開くと、
昨日よりもずっと増えていた。
「久しぶりのリール、待ってました!」
「新しい挑戦って気になります!」
「応援してます!」
その中に、
ふと目に入る一行。
「もっとオフの姿の大和さんを見たいです!」
胸の奥が、
少しだけざわついた。
> ……オフの店長なら、
> 私は18年前から知ってる。
その小さな優越感が、
胸の奥でそっと灯る。
でも同時に、
気軽にコメントできる人たちが
少しだけ羨ましくも思えた。
電車が駅に着き、
スマホを閉じて歩き出す。
──その頃。
大和は、
休憩中にスマホを開いて
自分のリールを確認していた。
増えていくコメント。
増えていく再生数。
その中に、
ひとつの“いいね”を見つける。
大和の指が、
ほんの一瞬だけ止まった。
> ……及川さん。
胸の奥が、
静かに温かくなる。
そして気づけば、
及川さんの“朝の空”の投稿に
そっと“いいね”を返していた。




