今の大和を知る人
お墓参りから数日後。
仕事を終えて帰宅し、
湯を沸かそうとキッチンに向かったとき、
スマホが小さく震えた。
画面に表示された名前を見て、
葵は一瞬だけ動きを止めた。
結衣。
そっとタップする。
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結衣:
「葵さん、お久しぶりです!」
「最近どうしてますか?
北海道は今日も雪です。
そっちはどうですか?」
葵は少し考えてから返信した。
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葵:
「結衣さん、久しぶり。
東京はね、今日小雪がちらついたよ。
そっちはもっと寒いんだろうね。」
送信すると、
すぐに返事が来た。
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結衣:
「えっ、東京も雪なんですね!
なんか嬉しいです」
続けて、
少し間を置いてからメッセージが届く。
「そういえば…店長、最近リール上げられてなくて。
なんか忙しそうなんです」
その一文で、
葵の指先が止まった。
“店長”。
大和のことだ。
胸の奥が静かに揺れる。
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葵:
「そっか。
結衣さんも忙しいのかな?」
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結衣:
「忙しいですよ〜!
でも店長の方がもっと忙しそうです。
お店にもほとんど来ないんです。
エリアマネージャーの仕事が大変みたいで」
葵の胸の奥に、
またひとつ波紋が広がる。
そして──
結衣は何気なく続けた。
「なんか…東京にしばらく行く、ようなこと言ってましたよ」
その言葉を読んだ瞬間、
葵の呼吸がほんの少しだけ止まった。
東京。
しばらく。
その言葉だけで、
胸の奥が静かに熱を帯びる。
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葵:
「そっか。
教えてくれてありがとう。
結衣さん、体調崩さないようにね。
北海道は寒いでしょ」
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結衣:
「ありがとうございます!
葵さんも無理しないでくださいね。
またDMします!」
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画面が静かになったあと、
葵はスマホをそっと伏せた。
> 結衣は、今の大和を知っている。
> 私は、何も知らない。
その“差”が、
静かに胸の奥に残った。




