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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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気付けばあの季節が来ていた

秋になって、部屋に小さな観葉植物を置いた。

水をやるたびに、

「生きてるんだな」

と自分に言い聞かせるように思った。


ひとりの部屋が、ようやく“自分の部屋”になっていく。

俊介の荷物が入った段ボールを見ても、もう心は揺れなかった。


仕事は相変わらず忙しく、

帰ってきては簡単なごはんを作り、

洗濯物を畳んで、

眠るだけの毎日。


大和のことは、

ふとした瞬間に思い出すだけになっていた。

思い出しても、どうすることもできないから。


「……大丈夫」

そう言い聞かせて、また次の日を迎える。


気づけば、街に冬の匂いが漂っていた。

冷たい風が頬を撫でた瞬間、

胸の奥が、ほんの少しだけざわついた。


あの冬の記憶が、

静かに目を覚まそうとしていた。

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