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小さな灯り
俊介がいない生活にも、
気づけば少しずつ慣れてきていた。
朝の部屋が静かでも、
もう胸がざわつくことはない。
ひとり分の食器を洗う音が、
以前よりも軽く響く。
仕事から帰ってきて、
玄関に靴がひとつしか並んでいなくても、
その光景に違和感はなくなっていた。
そんな自分に気づいたのは、
街にクリスマスの飾りが増え始めた頃だった。
今年は、小さなクリスマスツリーを買った。
高さ30センチほどの、控えめなもの。
箱から取り出して、
机の上にそっと置く。
去年まで飾っていた大きなツリーは、
もうこの部屋にはない。
でも、小さなツリーは不思議と馴染んだ。
弱い灯りが、静かな部屋にやわらかく広がる。
「これくらいで、ちょうどいい」
声に出すと、
その言葉が胸の奥にすっと落ちていった。
ひとりの冬は寂しいけれど、
寂しいだけじゃない。
そんな気がした。




