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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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1人になる家

その日、俊介は昼前に帰ってきた。


玄関の鍵の音が、

いつもより大きく聞こえた気がした。


リビングに入ってきた俊介は、

春の光の中で、少しだけ迷ったように立ち止まる。


「葵は……この家にいていいよ。

 住み慣れてるし、急に変えるのは大変だろ」


私は息を飲む。

返事ができない。


俊介は視線を落として、

でもはっきりと言った。


「……俺が出ていくよ」


その声は、

責めるでもなく、怒るでもなく、

ただ静かに決まっていた。


「俺のほうが動きやすいからさ。

 今日、荷物まとめて出るよ」


ハンガーが揺れる音。

引き出しを閉める音。

靴を揃える音。


どれも、

“終わり”の音に聞こえた。


玄関で靴を履きながら、

俊介は小さく笑った。


「葵は……無理しないでな」


優しさが痛い。


「連絡は……必要なときだけでいいよ」


未読LINEには触れない。

それが、俊介らしい優しさだった。


ドアが静かに閉まる。


春の光だけが残った。

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