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イベントが消えた家
2月14日。
バレンタイン。
朝、テレビをつけたら、
チョコレートの特集が流れていた。
「……」
すぐにリモコンで消す。
関係ない。
そう思いたかった。
スマホには、
相変わらずのLINE通知。
いつものようにスマホを伏せた。
(何も……感じない)
その事実が、一番怖かった。
2月の終わり。
俊介の帰りが少し遅くなった。
休日の外出も増えた。
洗面所の棚を開けたら、
俊介のものが少し減っている気がした。
気のせいかもしれない。
でも、胸がざわついた。
私は見なかったことにした。
気づかないふりをした。
冬の終わりの風が、
窓の隙間から入り込んでくる。
私はまだ、
冬の中に取り残されたままだった。




