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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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夫婦の終わり

俊介の言葉が、

ひとつひとつ胸に落ちていく。


「葵の心の中に……ずっと誰かがいるのは、分かってた」


「代わりでいいと思ってた。

 俺が埋められれば、それでいいって……ずっと、そう思ってた」


「でも……もう、代わりにもなれてないんだよな」


葵は何も言えなかった。


俊介の優しさが、

今はただ痛かった。


そしてふと気づく。


俊介は、私がずっとLINEを未読のままにしていたことを、

責めようとしなかった。


その沈黙が、

優しさなのか、諦めなのか、

どちらとも言えなくて胸が締めつけられる。


俊介は、ゆっくりと私を見た。


「その“誰か”が……大和さんなんだろ」


葵は目を伏せた。

否定しなかった。

できなかった。


沈黙が、答えになった。


俊介は責めなかった。

怒らなかった。


ただ、静かに言った。


「葵が自分から言えないのも……分かってる。

 だから……俺から言うよ」


息が止まる。


そして──


> 「少し……距離を置かないか。

> このままじゃ、どっちも苦しいだろ」


その瞬間、

喉の奥がツンとした。


涙にはならない。

でも、確かに痛い。


胸の奥が、

ゆっくり沈んでいく。


葵は小さくうなずいた。


> 「……うん」


その一言を口にした瞬間、

自分の声が少しだけ震えた。

声になったのかな。

喉の奥が熱くてもっとツンとしてくる。


俊介の料理の湯気が消えていく。

その匂いだけが、

胸の奥に残った。


あの頃の幸せも、

今日の痛みも、

全部まとめて沈んでいくようだった。

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