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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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胸の奥に残る灯り

目が覚めた瞬間、

胸の奥がふわっと温かかった。


昨夜のことを思い出す。

冬の冷気。

白い息。

サンダルの足先の痛み。

そして──

光に照らされた横顔。


(……見えたんだよね)


夢みたいで、

でも夢じゃない。


布団の中で、

葵はそっと目を閉じる。


(嬉しかったな……)


会えなかった。

声をかけられなかった。

名前も呼べなかった。


それでも、

一瞬だけ同じ場所にいた。


それだけで、

胸がぎゅっとなる。


スマホを開く。

大和のアカウントには、

昨夜のLIVEのアーカイブが上がっている。


(コラボ終わりって言ってたよね……)


つまり、

もうすぐ北海道に戻ってしまう。


(……そっか)


少しだけ胸がきゅっとする。

でも、

その痛みすら優しい。


だって──

一目だけでも見れたから。


17年ぶりに、

同じ空気の中にいたから。


(……ありがとう)


誰に向けた言葉か分からないまま、

葵はそっとスマホを胸に抱いた。


外はまだ冬の朝の冷たさ。

でも、

胸の奥には昨夜の灯りが

静かに残っていた。

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