表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

416/487

120%の帰り道──あふれて止まらない想い

会社を出た瞬間、胸の奥がふわっと浮いた。

夕方の風が頬を撫でる。

いつもと同じ風なのに、今日はやけに優しく感じる。

鞄の中のスマホは100%のまま静かにしているのに、

心だけが120%で脈打っていた。


(……まだ、声が残ってる)


大和がカメラマンに寄り添って、

モニターを覗き込みながら言ったあの声。


「焦らなくていいよ。ゆっくりで大丈夫」


その柔らかさが、耳の奥に残って離れない。

歩くたびに、胸の奥で小さく震える。


信号待ちの間、ふと手が頬に触れる。

熱い。

鏡に映った“恋してる顔”が、まだ消えていない。


(……私、こんな顔して歩いてるんだ)


恥ずかしいのに、嬉しい。

苦しいのに、温かい。

矛盾した感情が胸の中で渦を巻く。


俊介の未読通知は、まだ赤いまま。

見なきゃいけないのに、

罪悪感より先に、大和の余韻が胸を満たしていく。


街灯がいつもより柔らかく見える。

夕暮れの色が少しだけ明るい。

世界が変わったわけじゃないのに、

自分の中だけが静かに変わってしまった。


(……もう、戻れない)


鞄の中のスマホは満タン。

でも、心はもう120%で、

あふれて止まらない。


葵は、恋を認めてしまった人の歩き方をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ