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10%のざわつき──勝手に満ちていく想い
会社に着いてすぐ、スマホを充電器に繋ぐ。
画面はまだ真っ黒。
少しずつ電気が流れていくはずなのに、
私の心のほうが先にざわつき始めていた。
「北海道の社員旅行からもう2年ですよね〜」
近くの同僚の声に、胸がひゅっと縮む。
あの場所。
大和がいる場所。
「また行きたいですよね」と言われ、曖昧に笑う。
頬が引きつっているのが自分でも分かる。
別の同僚がスマホを見せてきた。
「この人、料理上手すぎない?」
画面には“灯 北海道店”のタグ。
そこに映る大和の姿。
息が止まる。
自分のスマホはまだ沈黙したまま。
電源が入らない。
だから見れない。
でも、世界は大和を見ている。
胸の奥がざわざわして、仕事に戻れない。
スマホの充電は10%くらいだろうか。
でも、心のざわつきはもうそれ以上だった。




