前へ目次 次へ 410/489 日常が変わっていく 仕事が終わっても、 家に帰る気になれなかった。 帰ったら、 俊介の優しさに触れてしまう。 それがいちばん怖い。 だから、 カフェで時間を潰した。 駅のベンチでぼーっとした。 その頃、俊介は “気遣い”で本当に遅く帰っていた。 夜ご飯は別々。 葵は作らない。 俊介も「いらないよ」と言う。 同じ家なのに、 生活が別々になっていく。 玄関の鍵の音がしない夜が、 少しずつ当たり前になっていく。 その“慣れ”が、 自分でもどうしようもなく怖かった。