前へ目次 次へ 409/489 弱い自分 同僚の声が遠く聞こえる。 世界だけが少し離れていく。 大和の笑顔。 俊介の沈んだ顔。 自分のぐちゃぐちゃな感情。 全部が一気に押し寄せて、 視界が滲む。 (やだ……泣きたくない) トイレに逃げ込んで、 鏡を見る。 疲れた顔が映っていた。 またスマホが震えている感覚がする。 唯一の逃げ道であり、救いだった 大和のリールを開くことすらできない。 涙がにじむ。 それを拭った指先に残る温度が、 自分の弱さを突きつけてくるみたいで、 息を吸うのさえ苦しくなった。