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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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顔を合わせない生活

翌朝。

葵は早く起きて、

静かに朝食を作った。


テーブルにそっと置いて、

音を立てないように家を出る。


俊介は、

葵がいなくなった後のキッチンで

ひとりで朝食を食べる。


「ありがとう」

その言葉を言う相手は、

もうそこにいない。


寝室も別のまま。

会話もないまま。

もちろんハグも消えてしまった。


すれ違いが、

日常になっていく。


そしてその日常に、

2人とも少しずつ慣れていく自分が、

いちばん怖かった。

もう戻れなくなる未来が、

ぼんやりと形を持ち始めていた。

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