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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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おはようが落ちた朝

目を開けた瞬間、胸の奥がざわついた。

家が、静かすぎる。


いつもなら、キッチンから小さく聞こえる。

「おはよう」

あの声が、今日はどこにもない。


布団を抜けて廊下に出る。

空気が冷たい。

洗面所の扉は開いたまま。

リビングの照明もついていない。


人の気配がしない朝なんて、いつ以来だろう。


まだ“異変”と呼ぶほどじゃない。

でも、胸の奥で小さな違和感が膨らんでいく。


(……葵?)


呼んでも返事はない。

その静けさが、じわじわと広がっていく。

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