386/489
侵入される空気
通知は止まらなかった。
「いいね!」
「羨ましい!」
「大和さんの日だったんですね!」
「写真いいですね!」
「二色のだし巻き食べたい!」
俊介はSNS文化に慣れていない。
だから、この“情報の洪水”が胸に刺さる。
自分の意思とは関係なく、
知らない人たちの熱量が、勝手にスマホへ流れ込んでくる。
(……なんで俺のスマホにまで、大和が出てくるんだ)
タグ付けされた写真が拡散されていく。
自分の顔が、知らない誰かの画面に映っている。
その事実が、妙に怖い。
山下は「すげぇ、もう20件コメントついてる!」と笑っている。
俊介は笑えなかった。
自分の生活に、
自分の世界に、
“接点ゼロの男”が入り込んでくる感覚。
それは、静かな部屋に突然知らない人が上がり込んでくるような、
そんな侵入感だった。




