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葵のスマホ
ふと、葵の横顔が浮かんだ。
スマホを手放さなかったあの日。
俊介は理解できなかった。
(なんでそんなにスマホ気にするんだろう)
葵はずっと画面を見ていた。
通知が鳴るたびに、少しだけ表情が揺れていた。
俊介はその意味を深く考えたことがなかった。
でも今、自分のスマホが落ち着かない。
通知が鳴るたびに胸がざわつく。
知らない誰かの言葉が勝手に流れ込んでくる。
(……葵も、こんな感じだったのか?)
胸の奥がきゅっと痛んだ。
葵の孤独。
葵の焦り。
葵が“何か”を追っていた理由。
俊介は初めて、
葵の世界の一部に触れた気がした。
スマホがまた震える。
その小さな振動が、
葵の心の重さを伝えてくるようだった。




