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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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葵のスマホ

ふと、葵の横顔が浮かんだ。

スマホを手放さなかったあの日。

俊介は理解できなかった。


(なんでそんなにスマホ気にするんだろう)


葵はずっと画面を見ていた。

通知が鳴るたびに、少しだけ表情が揺れていた。

俊介はその意味を深く考えたことがなかった。


でも今、自分のスマホが落ち着かない。

通知が鳴るたびに胸がざわつく。

知らない誰かの言葉が勝手に流れ込んでくる。


(……葵も、こんな感じだったのか?)


胸の奥がきゅっと痛んだ。

葵の孤独。

葵の焦り。

葵が“何か”を追っていた理由。


俊介は初めて、

葵の世界の一部に触れた気がした。


スマホがまた震える。

その小さな振動が、

葵の心の重さを伝えてくるようだった。

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