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俊介のスマホ
ポケットの中でスマホが震えた。
俊介は反射的に取り出す。
「山下さんの投稿にコメントがつきました」
画面の端に“大和さん”の文字が見えた瞬間、胸がざわつく。
普段はほとんど鳴らないスマホが、今日はやけにうるさい。
歩き出しても、また震える。
また通知。
また“大和さん”。
(……なんだよこれ)
俊介のスマホは、いつも“静”だった。
仕事の連絡くらいしか来ない。
友達も多くないし、SNSもそんなにやらない。
だから、通知が鳴るたびに心臓が跳ねる。
山下は隣で楽しそうに喋っている。
「いや〜、大和さんマジで優しかったよな!」
「写真も撮ってくれたし!」
俊介は曖昧に頷くだけ。
スマホがまた震える。
そのたびに、胸の奥がざわざわと波立つ。
(……俺のスマホ、こんなに騒がしかったか?)
夜道は静かなのに、
手の中の小さな画面だけが、落ち着かない音を立て続けていた。




