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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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扉の前

順番が近づく。

店員が名前を呼ぶ。


「山下様、どうぞ」


山下が振り返る。

「行こう、俊介!」


俊介は一瞬だけ足を止めた。

何故か葵の顔が浮かんだから。

決め事のハグが形だけになってしまったあの瞬間。

葵の目に宿っていた、言葉にできない不安。


(……俺は、何をしに来たんだろう)


でも、もう引き返せない。

ここまで来てしまった。


「……行くよ」


扉に手をかける。

温かい光が、指先に触れた。


俊介が“(あかり)の夜”に足を踏み入れる瞬間だった。

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