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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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歩き出す足

会社を出て、夜風の中を歩き始める。

居酒屋「(あかり)」は会社と家の間にある。


山下は楽しそうに話している。

「いやー、ほんと奇跡だよ。(あかり)の予約なんてさ」

「大和さんって人、すごい人気らしいぞ」


俊介は相槌を打ちながら、胸のざわつきを抑えられなかった。


歩くたびに、葵の横顔が浮かぶ。

二色のだし巻きを作ってくれた朝。

あれがバズっている理由も、葵が作った理由も分からない。


(なんで……あれを作ったんだろう)


分からないまま、(あかり)が近づいてくる。

足取りは重いのに、時間だけが前に進んでいく。

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