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昼休みの誘い
昼休み、同僚の山下が弁当を広げながら言った。
「最近人気の“灯”って店知ってる?」
「北海道の店とコラボでめっちゃバズってるらしいよ」
俊介は箸を止めた。
灯の名前は知っている。
かつて探りに行ったことがある。
ただ、そこまで人気とは知らなかった。
「へぇ……そんなに?」
自分でも驚くほど、声が軽かった。
山下はスマホを見せながら続ける。
「今度行ってみない?予約取れたらだけど」
避けていた場所。
行く理由がなかった場所。
でも、こうやって誘われると、
自然に“行く流れ”ができてしまう。
俊介の胸に、小さな違和感が刺さった。




