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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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むなしさと隣り合わせ

夜。

また帰宅を遅らせてしまった。

玄関を開けると、家は静まり返っている。

寝室の扉の向こうから、葵の寝息が聞こえる。


そっと布団に入る。

触れたい。

抱きしめたい。

好きだから。


でも触れたら、また冷たさに気づいてしまう。

葵の心がここにいないことを、思い知らされる。


朝は誤魔化せる。

日中は忘れられる。

でも夜だけは、どうしても誤魔化せない。


隣にいるのに、いちばん遠い。

その距離を抱えたまま眠るのが、もう限界に近い。


「好きなのに……なんでこんなに苦しいんだろう」


暗闇の中で、俺の声だけが静かに沈んでいった。

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