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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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儀式の刃

1日2回のハグは、俺が言い出した。

触れれば距離が縮まると思っていた。

好きだから触れたかった。

葵を感じたかった。


でも今は、触れるたびに絶望する。

葵の身体は軽くて、温度が薄くて、呼吸が浅い。

抱きしめても、心がここにいない。


だから俺は、

シャワーを長く浴び、

歯磨きを長くし、

布団に入るタイミングをずらす。


ハグはする。

でも、一瞬だけ。

触れた瞬間、胸の奥が沈んでいく。


「好きなのに……触れるのがこんなに怖いなんて」


儀式は、いつの間にか俺を傷つける刃になっていた。

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