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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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ハグのリズムが狂い始める

ようやく帰宅した頃には、家は静まり返っていた。

リビングの灯りは落ち、寝室の扉の向こうからは、規則正しい寝息が聞こえる。


葵は先に眠っていた。

ただ眠かっただけ。

それは分かってる。

でも俺には、胸の奥がきゅっと縮むような痛みが走った。


「……起こすのも、違うよな」


そっと布団に入る。

触れれば、またあの冷たさに触れてしまう。

触れたいのに、触れられない。

好きなのに、怖い。


結局その夜、ハグはなかった。

“今日はたまたま”

そう思おうとしたのに、胸の奥で何かが静かに欠け落ちる音がした。

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