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ハグのリズムが狂い始める
ようやく帰宅した頃には、家は静まり返っていた。
リビングの灯りは落ち、寝室の扉の向こうからは、規則正しい寝息が聞こえる。
葵は先に眠っていた。
ただ眠かっただけ。
それは分かってる。
でも俺には、胸の奥がきゅっと縮むような痛みが走った。
「……起こすのも、違うよな」
そっと布団に入る。
触れれば、またあの冷たさに触れてしまう。
触れたいのに、触れられない。
好きなのに、怖い。
結局その夜、ハグはなかった。
“今日はたまたま”
そう思おうとしたのに、胸の奥で何かが静かに欠け落ちる音がした。




