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灯りへ向かう足
翌日。
仕事帰り、気づけば灯の前に立っていた。
「今日は行かなくていいだろ」
そう思うのに、足が止まらない。
扉の向こうに、大和の痕跡がある気がしてしまう。
ただ飯を食いに来ただけだ。
そう自分に言い訳しながら、扉に手をかける。
店内はいつも通りの灯の匂い。
でも俊介の胸の中は、昨日とは違っていた。
大和が来るわけじゃない。
葵の過去が突然現れるわけでもない。
それでも——
ここに来れば、何か“点”が拾える気がした。
葵には聞けない。
聞いたら壊れる。
だから、こうして間接的に確かめに来ている。
自分でも分かっている。
これはただの食事じゃない。
影を追いに来ている。




