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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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初対面

扉が開いた瞬間——

店の空気が、ふわりと変わった。


落ち着いた声。

歩き方に無駄がない。

スタッフが自然に笑顔になる。

店がその人の空気に馴染むように、柔らかく揺れた。


「あ、大和さん。お疲れさまです。本社帰りですか?」

スタッフの声に、俊介は反射的にそちらを見る。


45歳くらいだろうか。

落ち着いた雰囲気。

優しそうな笑顔。

“仕事帰りにふらっと寄っただけ”の自然体。


俊介は思った。

「……普通の人だ」


でも同時に、胸がきゅっと痛む。


“葵が見ていたかもしれない大人の男性”が、

今、目の前にいる。


大和はスタッフと軽く会話し、

「いや、ちょっと寄っただけだよ」と笑った。


その笑顔が、なぜか胸に刺さった。


俊介は、目をそらした。

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