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名前の重さ
大和はカウンターに座り、スタッフと話し始めた。
「東京の本社、どうでした?」
「いやいや、相変わらずだよ。昔の話ばっかりされてさ」
“昔”
その一言が、俊介の胸に重く落ちた。
葵が19歳だった頃。
東京でバイトしていたあの頃。
どんな人たちと、どんな空気の中で働いていたんだろう。
ただそれだけの想像なのに、
胸がざわつく。
俊介はグラスを飲み干し、席を立った。
店を出た瞬間、夜風が胸に刺さる。
心の中でつぶやく。
(……あの人が、大和さん)
影だった名前が、
現実の重さを持ち始めた瞬間だった。




