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顔を見るまで
料理をつつきながら、俊介は考えていた。
葵が向かっていた店。
北海道。
東京で店長。
社員旅行。
北海道に行ってからの葵の変化。
全部が、ひとつの線になりそうで怖い。
「いや、考えすぎだ」
心の中で否定する。
葵を疑うなんて、そんなことしたくない。
でも——
影は消えない。
“来週来る”
その言葉が胸の奥で静かに響き続ける。
俊介はそっと息を吐いた。
「……一度くらい、顔を見てもいいよな」
「それで何もなければ、安心できる」
静かに決めた。
大和さんが来る日まで、居酒屋「灯」に通う。




