前へ目次 次へ 333/507 二度目の灯り 仕事帰り、気づけばまた居酒屋「灯(あかり)」の前に立っていた。 数日経っても、あの日の葵の表情が胸に残ったままだった。 「今日だけ。今日だけ見れば安心できる」 そう自分に言い聞かせて扉を開ける。 店内は温かくて、落ち着いた空気が流れている。 でも俊介の心は落ち着かない。 カウンターに座ると、スタッフの雑談が耳に入った。 「来週また大和さん来るってよ」 「東京の店長時代の話、面白かったな」 俊介の胸が、ぎゅっと縮む。 ……来週、来る? その言葉が、妙に重く響いた。