326/489
噛み合わない会話
リビングの空気が、少し冷たく感じた。
俊介はテレビをつけたまま、画面を見ていない。
私はスマホを握りしめたまま、何も開けない。
「最近……葵が遠い気がする」
俊介の声は小さかった。
「そんなことないよ」
そう言った瞬間、自分の声が震えているのが分かった。
俊介は私を見つめる。
その目に、不安と焦りが混ざっていた。
「俺、どうしたらいいんだろうな……」
その言葉が、胸に刺さる。
“違うの。俊介のせいじゃない”
そう言いたいのに、言葉にならない。
会話が噛み合わない。
気持ちも、視線も、温度も。
同じ部屋にいるのに、距離だけが広がっていく。




