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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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何かあるなら…話して

夜。

食器を片づけていると、俊介が静かに口を開いた。


「葵……何かあるなら、話してほしい」


責める声じゃない。

ただ、不安を押し殺したような優しい響き。

その優しさが、逆に胸を締めつける。


「別に、何も……」

言いながら、目を合わせられなかった。


俊介は少しだけ息を吐く。

「この前さ、居酒屋「(あかり)」の前にいたよな。

 あの店……なんかあるの?」


心臓が跳ねた。

「昔、バイトしてただけだよ」

俊介の表情がわずかに揺れた。


「そっか……」

納得したような、していないような声。


沈黙が落ちる。

その沈黙が、今までで一番重かった。

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