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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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触れられる距離

朝の光がまだ柔らかい時間。

俊介がそっと腕を広げる。

「……おいで」

昨日決めた“朝のハグ”。

たったそれだけのことなのに、胸がざわつく。


触れられた瞬間、身体がきゅっと強張る。

俊介は気づかないふりをして、優しく背中を撫でる。

「慣れれば大丈夫だよ」

その声は優しいのに、どこか遠く感じた。


私は笑えない。

笑おうとすると、胸の奥が痛む。

俊介の腕の中で、呼吸が浅くなる。

“どうしてこんなに苦しいんだろう”


離れたあと、俊介は少しだけ眉を寄せた。

「……葵、無理してない?」

「してないよ」

そう言った声が、自分でも驚くほど弱かった。


罪悪感がじわじわと胸に広がる。

俊介は悪くない。

優しいだけなのに。

なのに私は、触れられることがつらい。

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