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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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届いてしまう声

珍しくリハーサルをして今回の撮影に挑む。


「こちらが東京の(あかり)さんの人気メニューで……

 こちらが北海道の(あかり)の看板メニューです。

 二つを合わせて、今回“二色のだし巻き”を作りました」


「スタッフからリクエストされた

 僕のだし巻きの昔のエピソードを一つ。

 今でこそササッと作れるだし巻きだけど

 店長になった当時は苦手でした。

 でも、店長なのに人気メニュー作れないとかダメじゃん?

 だからめちゃくちゃ練習したよ。

 店でも家でも、毎食だし巻き作っててさ」


「……当時、嫁さんに猛特訓してもらったっていう…

 “また?”って笑われながらさ」


結衣が小声で「今のめっちゃ良いです」と言う。

大和は照れながら笑った。


その動画が、遠く離れた東京の誰かの胸を揺らすことを、

大和はまだ知らない。


葵は画面越しに、大和の声を聞く。

懐かしさが胸を温め、

次の瞬間、

「あ……大和は結婚してたんだった」

と静かに思い出すだろうことを。


大和は知らない。

その声が、誰かの心をまた揺らしていることを。

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