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崩れていく
リールの最後、大和が言った。
「今日もお疲れさまです。
いい一日になりますように」
その声が、
俊介の優しさよりも先に心に届いてしまう。
俊介からメッセージが届く。
いつも通りの優しい言葉。
でも、心は動かない。
(どうして私は……こんなふうになってしまったんだろう)
ひとりになるのは怖い。
俊介を失うのも怖い。
でも、
俊介の優しさに応えようとするほど、
胸が苦しくなる。
大和の声は救いになるのに、
俊介の声は重くなる。
その矛盾が、
私を静かに追い詰めていく。
鏡の前に立つ。
映った自分は、
どこか疲れていて、
どこにも逃げられない顔をしていた。
(私は……戻れないんだ)
その小さな確信が、
音もなく胸の奥に沈んでいった。




