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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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崩れていく

リールの最後、大和が言った。


「今日もお疲れさまです。

 いい一日になりますように」


その声が、

俊介の優しさよりも先に心に届いてしまう。


俊介からメッセージが届く。

いつも通りの優しい言葉。

でも、心は動かない。


(どうして私は……こんなふうになってしまったんだろう)


ひとりになるのは怖い。

俊介を失うのも怖い。

でも、

俊介の優しさに応えようとするほど、

胸が苦しくなる。


大和の声は救いになるのに、

俊介の声は重くなる。


その矛盾が、

私を静かに追い詰めていく。


鏡の前に立つ。

映った自分は、

どこか疲れていて、

どこにも逃げられない顔をしていた。


(私は……戻れないんだ)


その小さな確信が、

音もなく胸の奥に沈んでいった。

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