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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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何も感じない朝

朝、目が覚めた瞬間、胸の奥に冷たい重さを感じた。

あの夜の言葉は、もう鮮明ではない。

でも、あのとき生まれた“違和感”だけが、

日を追うごとに静かに広がっている。


俊介の寝息が隣から聞こえる。

以前はその音に安心していたのに、

今はただ、遠い。


(どうして……こんな距離を感じるようになったんだろう)


嫌いになったわけじゃない。

それは分かっている。

でも、寄り添おうとする気持ちが自然に湧いてこない。

その“空白”が、朝の光の中で輪郭を持ちはじめる。


キッチンに立つ。

手は動くのに、心がついてこない。

味見をしても、何も感じない。

まるで、自分の生活が薄い膜の向こう側にあるみたい。


俊介が「おはよう」と笑う。

その声に胸が痛むわけでも、刺さるわけでもない。

ただ——

何も動かない。


(私……いつからこんなふうになったんだろう)


努力しようとする気力すら湧かない朝。

“好き”でも“嫌い”でもなく、

ただ“何も感じない自分”に気づいてしまう。


その無感覚が、

あの夜の痛みよりずっと怖かった。

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