308/499
往復する日々
北海道と東京を行き来する生活にも、ようやく身体が馴染んできた。
エリアマネージャーとしての仕事は増えたが、現場に立つ時間も嫌いじゃない。むしろ、忙しさに身を預けている方が心が落ち着く。
「今日も東京か……」
スケジュール帳を閉じながら、小さく息を吐く。
企画は順調に進んでいる。本部との調整も、北海道の店舗との連携も、少しずつ形になってきた。
——悪くない。
そう思える自分が、少し誇らしい。
45歳になって、ようやく“自分の歩幅”が分かってきた気がする。
東京店に向かう電車の窓に映る自分の顔は、昔より落ち着いて見えた。
あの頃は、ただ必死で、余裕なんてなかった。
でも今は違う。
前に進んでいる実感がある。
「よし、今日もやるか」
小さく呟いて、駅の階段を上がった。




