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ずるくなってしまった自分
夜、ひとりで洗面台に立つ。
鏡の中の自分は、どこか疲れて見えた。
(今ひとりになるのは……怖い)
仕事も、生活も、将来も。
全部が不安で、全部が重い。
俊介は、私の拠り所だった。
今でも、そうだと思いたい。
だから手放す勇気なんてない。
でも、心だけはもう戻らない。
俊介の優しさに応えようとするほど、
胸が苦しくなる。
努力すればするほど、
自分の“嘘”が浮き彫りになる。
(私は……どうしてこんなふうになってしまったんだろう)
(どうして……こんなにずるくなっちゃったんだろう)
声にならない言葉が、
鏡の中の私を静かに締めつけた。




