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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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触れ方を忘れた2人

週末の午後。

葵がキッチンでコップを取ろうとした瞬間、俊介は反射的に手を伸ばした。


「取るよ」


けれど葵は俊介の手に気づかず、自分でコップを取ってしまう。

そのまま「ありがとう」とも言わずに水を注ぎ、リビングへ戻っていった。


俊介の手は、宙に取り残されたままだった。


(触れたいのに……触れられない)


以前なら自然に触れられた。

肩に手を置くことも、抱き寄せることも、何の抵抗もなかった。

でも今は、触れていいのか分からない。

触れたら壊れてしまいそうで。


葵もまた、俊介の手を避けたつもりはない。

ただ、心が揺れているから、俊介の動きに敏感になれないだけ。


それでも俊介には、

“避けられた”ように見えてしまう。


触れられる距離にいるのに、

心だけが遠ざかっていく。

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