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優しさの空回り
葵の心が自分に向いていない——
その確信に近い感覚が胸に沈んでから、俊介の優しさは“形”を失い始めた。
帰り道、コンビニで葵の好きな飲み物を買おうとする。
でも、どれを選べばいいのか分からない。
前は迷わなかったのに。
結果、3種類全部買ってしまう。
夕食も、葵の好きなメニューを思い出そうとするが、
「これで合ってる?」という不安が先に立つ。
葵が「今日は簡単でいいよ」と言っても、
「いや、作るよ」と押し切ってしまう。
(どうしたら……正解なんだ)
優しくしたいわけじゃない。
繋ぎ止めたいわけでもない。
ただ、どう扱えばいいのか分からない。
葵の心がどこにあるのか分からない。
葵はその優しさに、少しだけ居心地の悪さを覚える。
俊介はそれに気づかず、さらに優しくしようとする。
優しさが、迷走していく。




