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【1万PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第三十四話 「マジックバック」

 ——放心し、マジックバックの縫い目を数えているコレットに、シグルドが歩み寄る。


「あのな、マジックバックが売れてるのはお前の力が素晴らしいからだ。でも、このままお前が寝ずに働き続けたら、お前は更に体調を壊すし、作業効率も悪くなって、どっちにしても5年待ちが更に伸びるのは明白だ。そうなったら、残ったものは、死にそうな身体と、クレームの嵐。また、お前の言う虹の掛からない、セピア色の世界に逆戻りなんだが、自分で自分の未来を断つのはお前のしたい事なの?」


 まさに、ド正論をぶつけるシグルドの言葉の嵐は、コレットへ、雷に打たれたような衝撃を与えた。


「あ……あなたを……師匠と呼んでも良——」


「やめろ、気持ち悪いから」


 会話を途中で遮断するシグルド。


「ああ、合理的……」


「で? 作るの? 作らないの? もう受け取ったら帰るだけなんだよね、俺たち。悪いけど、休むにしても俺たちの作ってからにしてね」


「ああ、理想……」


——————


 ——そんなこんなで、マジックバックを手に入れた一行は、大喜びだ。


 ものの数十分で、4つも完成させるなんて、凄い技術じゃないか!


 感心するシグルドだが、コレットにはそんなシグルドや満足そうな皆の姿は見えていない様で、マジックバックの説明をしてくれた。


「カラーはー、みなさんの瞳の色に合わせておきましたー。袋の入り口に入るものならー、容量問わず出し入れ自由となりますのでー、皆さんにはオススメのー、大きいものにしておきましたー」


 さすがに体力の限界なのか、また間延びした口調に戻るコレット。


 確かに、巨大な魔物は流石にそのままだと入らないかもしれないが、それなら解体してから入れれば良い。


 たぶん1番大事なのは、ダンジョンで冒険者たちがやっていた様な、仲間の遺体の収納だろう。


 ダンジョンでは遺体を放置すれば、奇行種を生みかねない。


 だからこそ、放置は出来ないからな。


 背負って戦闘になって、全滅したのでは話にならない。


「ありがとう、コレット! でも、マジックバックなのに、やっぱり袋の認識なんだね」


「あたしの花紋はー、アツモリソウですからねー、袋属性なんでー、鞄ではないんですよー。あくまでもー」


 右手の甲に刻まれた、袋のモチーフを見せながら、ニッと笑顔を見せるコレット。


「用途は、分かってると思いますがー、危険な時にもー、役に立つんでー、よろ……しく……」


「あ、寝た」


「とっくに限界だったろうに。きっちり説明してくれて、コレットは律儀なんだね」


 ——そのまま意識を失ったコレットを、寝室に運ぶ。


 一応、侍女がいたようなのでお礼を告げ、部屋を後にする。


 ——やっと帰宅が出来る。馬車に揺られながら、疲労困憊の4人。


「そういえば、気になってたのだけれど、そろそろ学園の申し込みは済ませたのかしら?」


 学園というのは、花の大陸全土から、同世代が集められる、貴族としての義務である学舎。


 前世で言うならば、中学校みたいな所である。


 貴族の義務、だもんな。


 今考えると、魔王戦の為の戦闘力強化の為に感じるけどな。


「あー、秋からか。みんなは寮に入るのか? それとも通い?」


「帝都からなら、通いが多いよな。でも2人はそもそも寮じゃなきゃ難しいだろ?」


「そうだよね。緑の国からだと、帝国経由じゃないと1日じゃ着けないしね」


 花の大陸の中心にある帝都の関所は、帝都に用がない者は、通り抜ける事は出来ない決まりだ。


 つまり、最短ルートなら数時間の距離でも、公国間を行き来するとなれば、数日、場合によっては、数週間もかかる。


「学園が帝都にあれば良いけど、塔のある花びらでもそんなにかかるのか?」


 花の大陸の形状上、橙の国と緑の国の間に位置する塔のある花びらでも、かなりの迂回を要する為、最短ルートでは辿り着けない。


 その為、以前ティナがリオーネを訪問した際も、橙の国の国境の街までで、3日かかっていたのだ。


「隣の花びらでも1日以上かかるなら、現実的じゃないな」


「で? お前たちはどうするんだよ? 帝都からだから、通いなのか?」


「そうね。わたくしは、皇務があるから難しいかもね。寮生活には憧れるけれど」


「って事で、エルが残るなら、俺も一緒だな」


 まぁ、そうなるか。


 エイシャリアの専属の従者であるカルロが、主人から離れる訳にはいかないよな。


「んだよ、男子寮にカルロがいないのかよ」


「エイシャリアもいないのは、寂しいね」


「エル……こんな素直なシグが見れて、俺は嬉しいよ」


「わたくしもよ、求められるのは心が潤うわね」


「なんなんだよ! めんどくせーな!」


 ——そんな時


 ふと、外の情景が目に止まったカルロス。


「まぁまぁ、そう言うなって! みんな疲労感がヤバいんだし、どうせなら寄り道して、温泉行って帰ろーぜ!! ほら、温泉街だってよ!!」

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