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【1万PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第三十話 「苦悩からの希望」

 突然、ステータスの強制解析を受けた一同は、危険を察知し、再び合流した。


『なんじゃ? お前さん、ステータスは初めてみたのか?』


 カルロスの胸元から顔だけを出し、ウルがリンリンへと疑問を投げかける。


「ええ、ウル。努力は積んできたけれど、いつしか、その努力すらも限界を迎えてしまったから。見られて嬉しいわ」


 そういう事か。


 ステータスが見られないと、自分がどこまで成長しているのかも、どこが限界なのかも分からない。だから、無駄に時間と労力を費やしてしまう。


 かく言う俺も、格闘家だった前世でステータスが見られたら、もっと効率よく鍛えられたかもしれない。


 何より、この世界にはレベルキャップがある。


 特にリンリンの様に、1000年かけて色々な面で努力をしても成長が出来ない苦しみは計り知れないだろう。


 これはかなりデリケートな問題だ。見守ることに徹しないとな。


 苦虫を噛み潰したような顔の後、酷く不恰好な笑みを浮かべるリンリンに、雷牛は優しい笑みを返した。


『ふむ、助言はいるかの?』


 そんな雷牛に、気を遣わせた事を悟ったリンリンは更に申し訳ない表情で答える。


「……では、?属性とは……何かしら?」


 そうか。やっぱりリンリンは花紋が開花してないから、自分にしか使えない魔法ってのは分かっていても、その属性までは分かってないんだな。


『言うなれば自身の才能じゃな』


 それを聞いたカルロスとエイシャリアは、見守る事に徹したシグルドとは逆に、食い入る様に話に参加した。


「お、俺たちが何の属性なのか、教えてくれるのか!?」


『お前たちはダメじゃ』


「なんでだよ! 俺たちにも何の属性か教えてくれよ!」


『ダメじゃな。努力が足らん。たわけが。リンリンを見ろ。お前たちと違い、ハンデがある。その上でここまでの研鑽を積んだのだぞ。長い遠回りの時間と血の滲む労力があってこそ、今の強さを身に付けたのだ。それを、お前たちは、ただ、近道をしたいとな?』


 ハンデ……?


 ああ、そうか。リンリンは魔力が低い。


 極級の魔法の熟練度がレベル1なのは、覚えたものの、扱えないからなのかもしれない。


 もしかするレベルキャップはそこにあるのかもしれないな。


 リンリンのハンデに、気付いたカルロスとエイシャリアも、口をつぐんだ。


 ——しかし


 エイシャリアは、1度は伏した目をキッ、と力強く開け


 ツカツカと、ウルの元へ歩き出したのだ。


「……そうね。確かに全てが短慮だったわ。ただ、今から助けて貰おうって奴の言葉には聞こえないわね」


『無礼なッッッ! なんという娘か!? それに、礼というのなら、今からリンリンにする! おヌシらの師であるリンリンにぞ! 文句はあるまいな?』


「ええ、良いわよ。1つ目のお礼はそれで」


『な、なんじゃと!?』


「あら、先程、カルロが角を切り離したことで

、今の貴方は意識を隔離出来ている。そのことにお礼を言っていたわよね? その上で更に本体の助けを求めた。まさか、聖獣の貴方が数を数え間違うなんてこと、ないわよね?」


 腕を組み、顎に手を添えながら冷ややかな眼で見下ろすエイシャリアを、なんとも忌々しそうに見上げるウル。


『ッッッくッ……だが、おヌシには教えんぞ』


「ええ、良いわよ。カルロの能力が分かるだけで。?属性がそれ程大変な道なら、カルロだけでも充分だわ」


「……エル……」


 申し訳なさそうに見つめるカルロスに、優しく微笑むエイシャリア。


 そう、だな。


 エイシャリアは無礼を承知でカルロの為に動いたのか。


『おヌシにも教えてやらぬ。おい、そこの娘よ!』


「なんですって!?」


 ウルが呼ぶのは


 まさかの、ティナだった。


「え? ……私……?」


『おヌシに良いことを教えてやろう。おヌシにも魔力がある。しかも相当な量だ。なぜ鑑定せんのだ?』


 どういう事だ!? ティナの魔力が高い!?


「神聖力が強いと、魔力が弱いんじゃないのか?」


『魔力と神聖力は適性に過ぎん。相反するものではあるが、共に燃料は体内にあるマナじゃ。故に、神聖力が強い者は、魔力も強い』


「まさか……それは……根底から世間の知識を見直さなければいけませんね……」


 そういう事だったのか!? だから、母様は魔力が弱いから神聖力もティナ程強くはないのか。


 いや、違うな。


 巫女候補になる程、母様は他の人より神聖力が強いんだから、もしかするとティナみたいに、神聖力が強いから魔力が弱いと思い込んでたのかもしれない。


 世界的に神聖力が強い人は、魔力が弱いって認識なら、これが正解だろう。


 それにしても——マナか。


 確かに、MP=マナは前世のゲームとかでは一般的だしな。


 MPをマジックポイント——つまり魔力量として考えてたから、ややこしかっただけか。


 元になるマナを、魔力に変換するのか、神聖力に変換するのか、それだけだったのか。


「……そう、だったんだ!? 生活魔導具を使ってるし、魔力があるのは分かってたんだけど、鑑定する機会がなくて。神聖力は確かに強いからね。そんなに魔力があるなら、覚えないともったいないよね。でも、なんでステータスには載ってなかったんだろう?」


『ステータスはな、自分が感じて使ったことがあるものしか載らんのだ。だからおヌシの魔法に関することは何一つ載っておらんし、?属性というのも自身で認識しておらんから、?の表記になっとる』


「あ、じゃあ俺の砂属性は俺が認識してるから、?の表記じゃないのか?」


『さよう。寧ろ、おヌシの方が珍しいことではあるがな。だからこそ、娘よ。自身の属性は調べておいた方が良いぞ。魔法の熟練度を高めておかねば、いつかレベルキャップに引っ掛かる』


「やっぱり、レベルキャップが関係してるのか!」


『さよう。リンリンと、そこの指の男との差には、レベルキャップは2つある。1つ目は全ての熟練度のレベルを最大値にすること、そしてもう1つは、精霊との契約じゃな』


「つまり、極級の熟練度を10にする……と。私にはなかなか、ハードルが高い……わね。だけど、それで強くなれるのなら、無理をするのも悪くはない。今までの様に無駄な時間にはならないもの」


『リンリンよ。無駄ではない。キャップが外れ、レベルが一つ上がれば、それまでに蓄積された経験値が一気に入ってくるぞ』


「なんだって!? そうか、だからリーンを単独撃破したカルロより、俺の方がレベルが高くなってたのか」


 これは、良い誤算だぞ!


 俺は今まで、頭打ちになった分の経験値は捨てるシステムだと思ってたけど、そうじゃなかったんだな!


 レベルキャップが取れたら、レベルアップ時に蓄積された分の経験値が大量に入るのか!


 シグルドは下を向き、心の中でガッツポーズで喜びに浸った。


 ——顔を上げると


 不意に、噛み締めたリンリンが、不敵な笑みを浮かべるのが目に留まった。


「……そう。キャップを外し、1つレベルが上がれば良いのね」


 そう、だよな——


 リンリンがいつ頭打ちになったのかは、分からないけど


 少なくとも数十年


 もしかすると


 数百年分の経験値が入るのか。


 これは、リンリンにとって、どれほどの希望なのかは想像も付かないけど


 武者震いする程、噛み締めるリンリンを見られて良かった。

お読みいただきありがとうございます!

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この物語は日・水・金の19時台に更新します。

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