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【9000PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第二十七話 「秘策」







「油断……。そうね。お互い肝に銘じないとならないわね」




 ビィクを一瞥した後、ゆっくりとリンリンが立ち上がり、ビィクから少し距離をとる様に歩き出した。




 ——その時、豪雨を降らせる曇天の空は晴れて行き、水溜りの様だった足場も綺麗な土へと変わった。





「上手い。やるわね、あの子たち。これで雷牛の脅威も緩和されるわ」






 既に終わったものの様に、一瞥されたビィクは、思考を巡らせていた。





 ビィクは円月輪には触れていない。





 触れない様に注意を払い、対処していた筈だ。





 何より、『滅界輪舞めっかいりんぶ』を使われてもいない。




 それは、雨粒が消えるのかどうかを一つ一つの円月輪を観察していたのだから分かっている。





 つまりこれは、別の技——『アーツ』であるこのノーブルのまだ見せていない能力。





 油断——そう、この女は言った。





 つまり、この状況は何か罠や準備された何かを見逃していたという事——これは、その類の技である可能性が高い。





 そして今——自身が動いているのに移動が出来ない。






 それはつまり——






「マントか」





 ズルリとマントを置き去りに、移動したビィクは振り返った。





 宙に浮かんだままの脱ぎ捨てられたマントを凝視する。





「あら、よく気付いたわね。それにその顔の火傷。ポーションでも治らない程、手酷く焼かれたのね」





 マントを脱ぎ捨てたことで、初めて露わになったビィクの素顔は、顔の半分以上に大きな火傷を残し、焼かれた箇所からは髪すらも生えていない。





 忌々しそうに睨むビィクは、軽口を叩く。





「ここは高原だからね。僕の髪が風でなびいているのに、マントが一切なびいてないのはあり得ないよね。まぁ、洞窟だったら詰んでいたかもね」




「そう」





 また動き出したビィクに、少しも優位性を損なっていない様な余裕を見せるリンリン。





 飛び交う円月輪に対応するビィクは、そのリンリンの態度に尚も思考を巡らせる。





 ビィクの焦りが取り除かれた訳ではない。




 今も尚、宙に浮いたまま固定され続けた異形な光景。





 戦闘中、マントに円月輪は一度も触れていなかったのだから。




 触れたものを固定させる様な力があるのなら、理解は出来るが、これはそういう力じゃない。




 罠を張っている素振りも見えない。





 だが、この女は何かを仕掛けている。






——————







 「『ダンスサラス』」





 晴れ渡る高原に、橙色の光が満ちる。





 ——その直後





 砂粒は舞い踊り





 大規模の砂嵐が巻き起こる。





「さっきは雨が降っていたからな。これで外はもう俺のフィールドだッ!」







——————





 橙色の光と共に砂嵐が巻き起こる。





 このままでは更なる状況の悪化を招きかねない。





 ビィクは、心を決めた。







「だけど、種が分からなくても、君はかなり負傷している。それに対して、僕はまだ無傷だッッッ!!!」





 突然現れた視界を遮る程の砂嵐に目もくれず、少し距離を取ったリンリンへと、駆け出したビィク。





 距離にして10メートル程の距離。





 強化されたビィクにとっては、1秒もかからない間合い。




 いかに罠を張っていたとしても対応する時間は与えない。






 そう、決断したのだ。






 ——しかし






「油断だと、そう言ったのに」





 駆け出して、ほんの二歩目で





 ビィクはまたしても、動きを止めたのだ






 ——その時






 一瞬の閃光が当たりを照らした







——————





 いよいよ秘策を披露しようかと、ドームから飛び出したシグルドの目に映ったのは





 暴れる雷牛ではなかった






 砂嵐で視界を遮られながらも






 確かに捉えたのは






 血塗れの






 リンリンだった——





 更にそのリンリンへと、今にもとどめを刺そうと駆け出したビィク。






 ——その時





 一瞬の閃光が当たりを照らした






「うわぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」





「『ダンスサラス』」







 光と共に降り注ぐ雷牛から放たれた落雷は





 大量の砂嵐を掻き分けるように、その軌道を変えた。






 そして——






 ビィクへと直撃したのだ






——バリバリッッッ






「カハ……ッッッ」





 落雷を受けるも、動けないビィクは倒れることも許されない。




「なぜ……僕が雷に……?」




 薄れゆく意識の中、視界に揺れる砂粒を見たビィクは静かに呟いた。





「そう……か……この……砂……か」





 ——すると





 遠くにうっすらと見えるシグルドの姿を





 初めて視界に捉えた。





「……フ……」





 ——そして





 満足そうに笑みを浮かべ





 意識を手放したのだった——







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