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【9000PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第二十四話 「晴れのち牛」








「お前たちはドーム内からの攻撃に専念してくれ。その前に、俺がこの現状を打開してやる」






 自信満々にそう言い放ったカルロスに怪訝な表情を浮かべるシグルド。






「打開策でもあるのか?」





 確かに、現状を変えないと対策は難しい。





「ああ。要は雨さえなくなれば足元からの感電の心配はなくなるだろ?まぁ、見てろよ!

風を司る精霊アングよ。

緑輝く神の息吹よ

闇を払いし暴風を

我が魔力を糧に顕現せよ!


『フリオス・ヒューイ』」






 カルロスの詠唱と共に巻き起こった暴風は





 緑色の光を放ち、高く高く舞い上がる。





 雨雲を散らし





 なんと、空は晴れていったのだ!





 分厚い雨雲により光が遮られ





 薄暗かった辺りは





 太陽の光を浴び





 まだ地面に残る雨水がその光を反射し





 驚くほど明るくなった。






 土のドームの無数の除き穴からも光が差し込んでくる。






「わぁ!凄い!空が晴れた!」






 皆が感動し、覗き穴から空を見上げた。






 そうか!雨を止ませる方法は、雨雲を散らすことだったのか!





 前世で雨を止ませるなんて発想になることが無かったから、考えも付かなかったな。





 土魔法も足元の土だから、空に対して関心を持ててなかった。




 高原のダンジョンだからか、この地面は傾斜がある。雨水もすぐに流れるだろう。




 だが——





「やるな!カルロ!だけど、まだ湿った土が乾かないと、雷は伝ってくるからもう少し時間をかけないとな」





「えっ?」





 不思議な事に皆がキョトンとし、シグルドを見つめた。





「たまにシグルドは本当によくわからない事を言うわね。見ていなさい。

土を司る精霊ラゴンよ。

橙に輝く豊穣の土を

我が魔力を糧に顕現せよ!


『プラウサラス』」






 エイシャリアが魔法を放つと、地面に橙の光が輝き、湿った土の上にみるみる新しい土が現れる。





「ほら、魔法で土を生成出来るのに、乾くまで待つ必要ないじゃない」





 あれ?土魔法って土を新たに生成する魔法だったのか!




 今まで土がないところでなんて魔法を使った事がなかったから気付かなかった!




 とんだ勘違いだ!てっきり、土を操作してるのかとばかり……




 普段から農業のため魔法で土を耕し、更にはシグルドが住むのは砂漠地帯のリオーネ領である。風と共に砂は運ばれる。砂魔法を行使することにも違和感を覚えたことはない。





 何より、前世とは違い地面はアスファルトではない。土があって当たり前なのだ。





 生成魔法は、本来、魔法についての基礎知識なのだが、元々魔法を教わる前から魔法が使えたシグルドには、まったくの初耳である。




 あれ、これは常識の話だな。知らなかったなんて言えないぞ。





「あー、悪い。そりゃあ、そうだよな。俺も気が動転してるのかもしれない」






 ——しかし





 取り繕う為の嘘で場を凌ごうとしたシグルドだが、周りの反応は些か違った。







「……そうだよな。……こんな状況だし。……だけど、マズいな。……なんとか切り抜けないといけないのに」




「……そうね……無理もないわ。……しばらくはシグルド抜きで対策を考えましょう」





 えっと、思いの外俺の嘘が効きすぎているぞ……





 マズい……どうしよう……





 シグルドのキョロキョロと泳ぐ目は、ティナを捉えた。




 ——すると





 フフッ、と声を殺した笑顔のティナと目が合った。





「シグ、無理させてごめんね。でもシグの力も合わせないと乗り越えられないと思うから、もう少しだけ耐えられるかな?」





 あー、ティナにはバレてる……な。





 でも、これは助け舟を出してくれてるのか?






「ああ、こんな時だからな。俺は大丈夫だ」





 返事と同時にティナにアイコンタクトを送る。





 すると、ウィンクを返してくれた。





 なんて優しいんだ!ティナは絶対良妻賢母になる!





 感動するシグルド。






 ——その時





『#ー%、♭@*ぃ?』





 どこからか声がする。





「何か聞こえるぞ」





 耳を澄ませた一行は、声のする方へと耳を傾けた。






 どこだ?





 何かに阻まれていて、かなり聞き取り辛いな。






「ん?カルロから聞こえるぞ?」






「え?俺は下から聞こえ——」






『おいと言うに!聞こえぬのか!』






「いてッッッ」





 不意に腹部に痛みを感じたカルロスは、服の中にしまった物を確認する。






『クッ!おい!強く握るでないわッ!』






 カルロスが手に握っていたのは






 ——2足歩行の牛の様な生き物だった。






「なんだこれッ」






『おい、いつまで握っておるのだ!離さんか!』






「うわぁー、可愛い!」





「本当ね!2頭身で愛らしいわ!カルロ、その子はどうしたのよ?」





「分からないんだよ、突然服の中にいて……この中には雷牛の角が……あ、お前、まさか」





『気付くのが遅い!だが、まぁ、助けてくれたお前の事は気に入ったからな!お陰で分離が出来たぞ!』





「えっと、じゃあ、お前は」





『ああ、ワシは、雷牛のウルだ。助けたついでに頼みも聞いてくれ。どうやらワシは操られておる』






 カルロスの掌ほどの2頭身の牛は、腕を組みながら、ふてぶてしく言い退けたのだ。







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